• 今あるはただ神の恵み


取材最終日の目的地は函館に向かう途中にある、八雲町です。

ここ八雲町も一昨日に訪れた伊達市と同じように、明治の廃藩により仕事を失った旧藩士が入植してできた町です。

その藩は尾張藩徳川家。言わずと知れた徳川御三家のひとつの後ろ盾で、おもに少年期の若い武士を主力に入植させたと、そう教えてくださったのはこの日の取材先である日本基督教団八雲教会の牧師の渡辺兵衛(ひょうえ)先生。
入植した若い武士の数名をクラーク博士、内村鑑三、新渡米稲吉らで有名な北海道大学の前身である札幌農学校へ近代的な酪農を学ばせ、ここ八雲に徳川農場という大規模な農場経営につかせたとのこと。その際に、そのうちの大島鍛(きとう)という方が札幌でキリスト教に触れ、信仰を持って帰ったことが、八雲に教会が立つ背景の一つだったそうです。
ですから、八雲町の発展を支えたのは、徳川農場であり、その中核にはキリスト者がいたということからか、八雲教会の会員や牧師から町長になるものが2名出たなど、八雲町と歩みに教会が深く関わってきたというのですから、伝道困難地である日本ではとても珍しいことだと思いました。

実は、渡辺先生、そのような教会と町の歴史について「八雲塾」なる町が主催する市民講座でも講師をしたこともあったそうで、そんなところからも教会と町がともに歩んできたことが表れていると感じました。

その渡辺兵衛先生は、山梨県富士吉田のご出身。キリスト教とは縁もゆかりもないまま、大学でキリスト教と出会うことになります。北海道のミッションスクールである酪農学園大学で、先生は学ばれ、そこでの人との出会いを通して、キリストを伝えキリストに倣って生きるため、農業に携わる人と共に生きることを強く意識するようになったそうです。卒業後は、三愛塾運動と呼ばれる農村伝道支援の働きをしている道北クリスチャンセンターで働き、その後農村伝道神学校で学ばれ、牧師になってからも、「農業と食べ物を考える会」に参加されていたなどキリスト者の生き方として農村伝道に重荷を負っておられます。ちなみに、ここ八雲教会へは6年ほど前に来られました。

の渡辺先生が牧師として働かれているここ八雲教会は旧メソジストの流れを組む1915年創立の教会。先のお話でもあったとおり、町の発展と共に歩んできた歴史を持つ教会です。

取材の最後に渡辺先生から嬉しいお証をいただきました。
八雲には神経筋疾患の治療を主に行う国立病院機構の八雲病院があるそうですが、そこで入院されている中標津のメノナイト教会の会員の方のところへ月2回ほど訪問されておらるのですが、その方がFEBCの熱心なリスナーとのこと。今回八雲教会の取材にFEBCが来ることを大変喜んでおられたとお証しくださいました。その方は病院の中でも積極的に若い世代の方とも交流されておられるそうで、最北の地北海道でも困難を抱えながら、キリストを仰いでおられる方がFEBCの放送を通して共に主に結ばれていることに深く感謝した取材でした。

八雲町を流れる遊楽部(ゆうらっぷ)川
教会のほど近くにある「梅雲庭園」
教会のほど近くにある「梅雲庭園」
ツツジだけでなく、ライラックも咲いていました!

ちなみに、帰りの列車の時刻まで少し余裕があったので、渡辺先生のおすすめで、教会すぐそばの郷土資料館を見学したのですが、かつて北海道土産の定番であった木彫の熊の歴史を知ることに…
先ほどの徳川農場が、冬の農閑期の収入源として、導入したのが熊の木彫だというのです。アイヌの人が作っているイメージしかなかったので、驚きましたが、話はそれだけで終わりません。欧州に農業技術を学びに行った視察団がスイスで同じように農閑期の雇用対策としておみやげ用に擬人化した木彫りの熊にならったとのこと。つまり、木彫の熊は実は2系統あって、ひとつは八雲発祥のものと、その後でアイヌの収入源として旭川などで作られるようになったよく知られた荒々しい鮭を加えた熊の木彫だと郷土資料館の方が懇切丁寧に教えてくださいました。八雲のものは、最初はスイスのものを模した擬人化したものから、次第に芸術性を高めていってかなり繊細な技工を駆使したものに変わっていったそうです。


道理で、郷土資料館の前には、「徳川さん」なる像と「木彫りの熊発祥の地」という石碑がたっているわけです。

短時間でしたが、少しディープな八雲を知ることができ、新たな発見をさせていただいた取材となりました。

取材日:2016年5月28日
※最新の情報に関しては、教会に直接お問い合わせください。

 

日本基督教団八雲教会
住所:北海道二海郡八雲町末広町132(駐車場あり)
交通情報:JR八雲駅から徒歩6分
電話:0137-63-2311
牧師:渡辺兵衛(ひょうえ)
HP:http://yakumo-church.sakura.ne.jp/saito/youkoso_ba_yun_jiao_huihe.html
集会案内
・主日礼拝 毎日曜日 午前10:30〜
※この他クリスマスには、コンサートもされるとのこと。詳しいスケジュールなどは教会にお問い合わせください。